睡眠時無呼吸症候群の患者は睡眠中の呼吸停止によって酸素不足になることや、
しっかりとした睡眠が取れないため、さまざまな合併症を併発することがわかっています。
主に、高血圧、糖尿病、心疾患、脳卒中などの生活習慣病を併発しやすいといわれています。

これらはサイレントキラーなどといわれている疾患もあり、
ご本人が気が付かないうちにじわじわと体を蝕むことも考えられます。
睡眠時無呼吸症候群は重症化すると合併症などにより、
お亡くなりになる割合が高くなるというデータも出ています。


睡眠時無呼吸症候群の方は中高年の方が多く、肥満=高血圧だから、
必然と高血圧を合併するのでは?と思うかもしれませんが、
実は、本当の原因はそこではないのです。
同じ体重で健康な人と睡眠時無呼吸症候群の人を比較した研究では、
睡眠時無呼吸症候群の患者さんのほうが2倍高血圧になりやすいというデータが出ています。
つまり、睡眠時無呼吸症候群は高血圧の起爆剤なのです。
睡眠時無呼吸症候群を罹患することにより、さらに高血圧まで引き起こす可能性があるのです。
高血圧には原因がはっきりわかっている二次性高血圧と、
原因があいまいな本態性高血圧に分けることができます。
それぞれを分けると95%は本態性高血圧で、残りは二次性高血圧と言われています。
それでは、その95%の患者さんの中にどの程度、
睡眠時無呼吸症候群の患者さんが紛れ込んでいるのでしょうか。
とあるデータによると本耐性高血圧の患者さんに睡眠時無呼吸症候群を合併する比率は、
ある研究によると約30~60%といわれています。

本態性高血圧とは言え、もしかしたらその方々は、
睡眠時無呼吸症候群が原因で高血圧になっているのかもしれません。
つまり、特定でき、睡眠時無呼吸症候群の治療を行えば、
血圧はコントロールでかもしれないのです。
では逆に、
治療していない睡眠時無呼吸症候群の患者さんの中にどの程度高血圧を合併しているのでしょうか。
これについてもデータがあります。
おおよそ睡眠時無呼吸症候群の患者さんには50~90%の高血圧を合併するといわれております。
どうして睡眠時無呼吸症候群が高血圧を引き起こすのでしょうか。
その原因として
1.夜間の低酸素血症や覚醒反応(無呼吸のたびに苦しくて脳が目覚めてしまう現象)により交感神経が興奮する。(心臓がばくばくしますね)
2.気道が閉塞するために、あえいだ状態になり、胸の中が陰圧になり静脈の血流が多くなる。
などがあげられます。
さらに他の高血圧の悪化因子が加わるともっと悪くなるのです。

しかし、睡眠時無呼吸症候群を治療すると血圧の状態も良くなり、お薬を減量できたりします。
お薬を服用しても血圧が良くならないという方は、
高血圧の後ろに睡眠時無呼吸症候群が隠れているのかもしれません。
専門の医療機関にかかり、一度検査をされることをお薦めします。
睡眠時無呼吸症候群は、心疾患の危険因子であるといわれています。
健康な方と比べて睡眠時無呼吸症候群の患者さんの心疾患を発症する可能性は、
1.2~6.9倍とのデータが出ています。
ですので、睡眠時無呼吸症候群+心疾患となることでますます、
生命に危険を及ぼすことが示唆されています。
狭心症を患っている方のなかで約40%方が睡眠時無呼吸症候群を合併しているとのデータや、
睡眠時無呼吸症候群の患者さんに心疾患を合併している割合は30~40%とも言われています。
よって、睡眠時無呼吸症候群と心疾患は関係が深く、悪影響を与えるということになります。
ある研究では、未治療の重症の睡眠時無呼吸症候群の患者さんと、
CPAP治療を実施中の睡眠時無呼吸症候群の患者さんと比較したとき、
未治療の睡眠時無呼吸症候群の患者さんのほうが、CPAP治療患者さんと比較して、
圧倒的に致命的な心疾患を起こしていると言う結果も出ています。
高血圧同様、心疾患においても適切な治療を行えば、
危険を回避できる可能性があるのです。
健康診断などで、生活習慣病を指摘され、睡眠時無呼吸症候群の疑いのある場合は、
早めに専門医を受診されるとよいでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんの中にはとても糖尿病の方が多い事がわかっています。
しかし、糖尿病の治療を受けられている方でも、
ご自分が睡眠時無呼吸症候群かもしれないと気づく方はまだまだすくないと言われています。
糖尿病の教育入院中に、医療者が気が付き、治療を始められる方もいらっしゃいます。
糖尿病の中でも2型の糖尿病と睡眠時無呼吸症候群との関係は、
大規模な研究で最近明らかになりました。
2500人以上の地域住人を調査した結果、年齢、性別、喫煙、肥満度という、
糖尿病に関係しそうな事柄を除いても、
睡眠時無呼吸は糖尿病を引き起こしやすいという結果がでました。
つまり、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは肥満している方がおおいから、
糖尿病も多く合併しているのではなく、
無呼吸による低酸素状態や脳の覚醒などによって、
糖尿病を引き起こしていることになるのです。
睡眠時無呼吸症候群が原因の糖尿病であれば、
睡眠時無呼吸症候群を治療することで糖尿病もコントロールが可能です。

脳卒中は、昭和26年から昭和55年までの30年間、日本の死亡原因の1位を占めていました。
現在では死亡率は減少していますが、脳卒中のなかでも脳梗塞の割合が増え、
死亡率は減少したものの、後遺症などを抱えた患者さんがむしろ増加傾向にあります。
発症後はリハビリテーションの必要などがあり、生活の質(QOL)が下がる疾患です。
睡眠時無呼吸症候群と脳卒中はどのように関係しているのでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんの夜間の脳の血流量は健康な人と比べて、
半分とのデータがあります。
これは睡眠時無呼吸症候群の患者さんが脳梗塞を起こしやすい状況にあるということです。
また、血液の凝集能が高く(つまり、血液がどろどろしていて固まりやすい状況)、
脳血管が詰まりやすい状況にも置かれています。
また、ある報告によると睡眠時無呼吸症候群を治療していない方は、
脳卒中になる危険率が健康な方と比較し約10.8倍であると言われています。

